こころとからだと人生のはなし

からだのこと、こころのこと、人生のことを考えるのが大好きです。

【私見】医者が慢性的な痛みを治せない理由を複合的に考察してみた

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現役医師として働いています。

 

心と体の健康について、そして人生について考えるのが大好きです。

 

現場から見えてくること、たくさんの情報の中から行き着いた個人的な考えをシェアする場にしたいと考えています。

 

訪れて下さった皆さまが少しでもかるーくゆるーく生きる助けになれば幸いです。

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こんにちは💓

Dr.Amy えいみーです!

 

 


今日は痛みについてのお話です。

 

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生理痛、片頭痛、腰痛、、、

 


多くの方が体のどこかしらに痛みを抱えていることと思います。

 

 

急性の痛みと慢性の痛みの違い

痛みには、経過が早い急性のものと経過が長い慢性のものとあります。

それらは、原因と治療法に違いがあります

 

 

風邪をひいたときの頭痛や、生理痛のように、

数日間の経過で良くなるような急性の痛みは、

たいてい病院に行けば原因がはっきりすることか多いです。

そして、対処方法もたいていはっきりしています。

 

放っておけばほぼ確実に治るとわかっているものから、抗生物質を使えば治るもの、物理的に手術で原因を取り除く必要のあるもの。

 

色々ありますが、原因がわかっていて、対処方法がわかるというのは、

患者さん自身も、そして私たち医師にとっても、

割と扱いやすい症状です。

 

 

しかし、今日お話ししたいのは、慢性的な痛みについてです。

 

慢性的な痛みというのは、数ヶ月前はなんともなかったのに、気がついたら最近ずっと痛い。

そして、治る気配がない。

 

病院に行っても、検査結果はどこも悪くない。

医者には、原因はわからないけど、とりあえず検査結果は問題ないですよ、と言われて痛み止めを処方されて帰ってくる。

 

もしくは、病名はつくけれども、有効な治療法はない。手術ができなくはないが、手術したからと言って効果には個人差がある。とりあえずは痛み止めで様子をみましょう、と言われる。

 

片頭痛、頸椎症、線維筋痛症、腰部脊柱管狭窄症、

などがその代表ではないでしょうか。

 

そんなことが多いのが慢性的な痛みです。

 

私たち医師にとっても、慢性的な痛みは、

原因もはっきりせず、治療法もないため、痛み止めや抗不安薬などの対症療法でお茶を濁すのがせいぜい保険診療の中で出来ること。

 

患者さんにとっても、痛みは症状としてしっかりあるのに、検査結果が悪くないため、病院に行っても相手にしてもらえず、「様子を見ましょう」ばかり…

 

慢性的な痛みは、患者さんにとっても医師にとっても頭を悩ませる問題です。

 

 

慢性的な痛みの原因って結局何なの?

これまで述べて来たように、現代西洋医学では、原因がわからないことが多いのですが、

 

ここではあえて東洋医学や伝統医学の考え方も取り入れて、私の個人的な考えを述べていきます。

 

エビデンスも何もない話ですが、一つの考え方として悩んでいる皆さんの助けになればいいなと思ってお伝えします😊

 

 

慢性的な病気の原因は複合的

急性の病気の原因は、一つの臓器の怪我だったり感染症だったり、たいてい単一の原因が大元で病気が始まります。

 

しかし、慢性的な病気の原因は、もっと複雑です。

ここでは、肩こりを例に、複雑な原因を一つずつ解剖して行きます。

 

①物理的な原因

例えば受験生のように、一日中同じ姿勢でカリカリ勉強をしていたら、肩周りの筋肉が凝り固まって血流も悪くなり、肩が凝ります。

 

②精神的な原因

詳しくは後日お話しますが、慢性的に肩こりを持っている人は、責任感の強い完璧主義な方、内面的な自信がなく、表面上デキる風に見せたい人に多いように感じています。

 

(というのも、↑は私自身だから同類のことはわかるんです(笑))

 

そのようなメンタルでいると、不思議と肩に常に力が入ってしまいます。

それが慢性的な肩こりに繋がります。

 

③生活習慣

これは、食生活習慣、運動習慣を含みます。

肩こりの場合は食生活習慣は直接の関係はありませんが、極端に運動不足の場合は全身の関節、筋肉が硬くなり痛みを伴って来ます。

 

このブログを読んでくださっている方にはあまり関係ないかもしれませんが、

寝たきりになってしまった高齢者では、関節拘縮と呼ばれるこの現象がよく見られます。

 

 

それぞれの要素自体はさらにお互いが影響し合っているので、それぞれを明確に分けることは出来ません。

 

例えば、完璧主義なメンタルで肩が痛くなるのは、筋肉に変に力が入っているがために、関節が不自然な位置で固まってしまっている、という物理的な原因にも繋がっています。

 

 

慢性的な病気が病院に行っても治らないのはなぜ?

 

慢性的な病気の原因が複雑だというお話しをしてきましたが、

 

実は「普通の(笑)」病院に行って医師がアドバイス出来ることは上記のうち、なんと。

 

①物理的な原因

③生活習慣

のみ。なんです。

 

これは皆さんも実感としてわかるのではないでしょうか?

 

腱鞘炎がある人に、手の使いすぎをやめて休めましょうというアドバイス

 

腰が痛い人に、適切な筋力トレーニングをしましょうというアドバイス

 

片頭痛が強い人に、しっかり休養をとりましょうというアドバイス

 

お腹が弱い人に、お腹に優しいものを食べましょうというアドバイス

 

このようなアドバイスは普通の医者でも(笑)出来ます。

 

 

「②精神的な原因」にもアプローチが必要

しかし、それらのアドバイスを守っても、いまいちスッキリしないことが多いのではないでしょうか。

 

それは、②の精神的な要素を考慮していないから。

 

そして、難しいことに、現代西洋医学のトレーニングを受けた普通の医師たちは、②の精神的な面にフォーカスすることを教わっていません。

 

 

むしろ、心理学のアプローチや、東洋医学代替医療の方がその考え方が浸透しているように感じます。

 

 

個人的には、人間というのは機械と違って複雑系ですので、医療の中でこれらの要素も加味して考えるのが普通という流れに今後なっていくのではないかな?と思います。

 

 

慢性的な痛みを「こころ」から読み解く

せっかくなので、今日は皆さんと一緒に、からだの症状をこころの面から読み解いてみたいと思います😊

 

まずとっかかりとして、その痛みがいつから始まったのか、しっかり思い出してみましょう。

 

先にも述べたように、「いつのまにか痛い」というのが慢性的な痛みの特徴ではあります。

 

しかし、ここではあえて、いつからなのか、自分としっかり向き合って思い出してみて下さい。

 

「いつから痛いのか」がわからない方は、「いつまで痛くなかったのか」を考えてみるといいかもしれないです。

 

 

痛みが出始めた頃、あなたの人生はどんな状況でしたか?

次のステップは、身体が痛みという症状であなたにメッセージを発し始めたときの状況を思い出すことです。

 

仕事の状況はどんな具合でしたか?

家族の状況は?

自分の心境は?


きっと、何かしら心に浮かんでくることがあると思います。

 

そして、その当時の出来事が今の自分にどんな影響を与えていますか?

 

きっと、少しずつ社会適応して、

やりたくもない仕事を、仕事だから、と自分に言い聞かせ、

 

自分の心の声に蓋をし始めた頃ではないでしょうか。

 


でも、同時に、

当時の自分の頑張りがあったからこそ、

今の自分がある、

 

そうも思えているのではないでしょうか。

 

 

痛みはからだとこころからのメッセージです。

当時のあなたは、自分を置いてきぼりにして頑張りました。

 

今のあなたはその上にあります。

 

当時頑張った自分を全力で労ってあげましょう。

 

自分よく頑張った!!!!!

ありがとう!!!!!

おかげで今こんな人生を送っているよ!!!!

 

 

そして、当時蓋をした感情を掘り起こしてみましょう。


あの上司の発言にムカついた!!

旦那が心無いこと言った!!

親に否定された!!

そして悲しかった…

辛かった…

孤独だった…

 


痛みというのは、蓋をしていた感情やあなたが見て見ぬフリをしている現実をあなたに訴えかけるために身体が発しているメッセージです。

 

そのメッセージをきちんと受け取りきること。

それが痛みを解消するために必要な一つの要素です。

 

(ここであえて「一つの要素」と言ったのは、前述のように、慢性的な病気の原因は複雑で、改善すべき点も多岐にわたるためです。)

 

鎮痛薬との正しい付き合い方

最後に、私が考える痛み止めの使い方をお伝えして終わりにしたいと思います。

 

基本的には、慢性的な痛みに鎮痛薬を使うことは、問題の先送りである、と私は考えています。

 

それは、痛みには原因があり、私たちが受け取るべきメッセージがあるはずだから。

 

鎮痛薬は、痛みの原因やメッセージをしっかり考えることなく、症状だけを取り去ってしまいます。

 

それは臭いものに蓋をしているに過ぎません。

 

ですから、私は鎮痛薬に頼ることなく、しっかり痛みと向き合って頂きたいと考えています。

 

例外:鎮痛薬を使ってもいいとき

例外として、鎮痛薬の力を借りることが良い方向に向かう場合もあります。

 

それは、痛みが強すぎて夜も眠れないときです。

 

夜も眠れないほどの痛みというのは尋常ではありません。

 

まずは病院に行って命に関わる病気でないことは確認するのをおススメします。

 

しかし、命に関わるものではない、もしくは原因不明である、というときは、鎮痛薬を使ってもいいと思います。

 

夜も眠れないほどの痛みというのは、非常にストレスがかかります。

それは、精神的に辛いことはもちろんですが、肉体的にもストレスホルモンがたくさん出ます。

 

ストレスホルモンというのは、からだのアクセルに相当します。

 

常にアクセル空ぶかし状態になってしまうわけです。

 

からだの随所に悪影響を出します。

 

いくら痛みと向き合ったとしても、現実的に痛みが強すぎるのであれば、事態を好循環に持っていくのは非常に難しいです。

 

そのような時は、鎮痛薬を適度に使いながら、痛みの発するメッセージと向き合ってみて下さい。

 

このように、私たちの力だけでは痛みの悪循環スパイラルを断つことが難しい場合には鎮痛薬のいい出番だと思います。

 

 

まとめ

 

長くなりましたが、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

 

今日は痛みについて、様々な角度から分析してみました。

 

あまり一般的でない発想ですが、痛みに悩む皆様の心が少しでも軽くなれば幸いです。

 

 

正解のない問題ですので、皆さまの

ご意見ご感想をぜひコメント欄で共有して頂けると嬉しいです😊

 

それでは!

 

Dr.Amy