代替医療は非科学的なのか問題!現役医師が斬ります
代替医療は非科学的なのか問題!現役医師が斬ります
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現役医師として働いています。
心と体の健康について、そして人生について考えるのが大好きです。
現場から見えてくること、たくさんの情報の中から行き着いた個人的な考えをシェアする場にしたいと考えています。
訪れて下さった皆さまが少しでもかるーくゆるーく生きる助けになれば幸いです。
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おはようございます。
Dr.Amy(えいみー)です。
今日は世にはびこる西洋医学vs代替医療論争に取り組んでみたいと思います。
一般的に言われること、それは、
そういった風潮が強いかなと思います。
【外来あるある】担当医に○○療法について意見を聞いたら一蹴された件
特に、医療現場にいて強く感じることは、医者の方がむしろ半ば盲目的に代替医療をインチキ視しているということです。
一般の患者さんたちの方が、色々と興味を持って、
「○○療法っていうの今日テレビで見たんですけど、実際どうなんですか?」
などと質問して来ます。
たいていの医者は、
「あ〜そういうのね、鵜呑みにしないほーがいいよ(真顔)。じゃー次2週間後来て。(終わり)」
という返答をします。
あなたも試しに病院に行ったら先生に聞いてみて下さい(笑)
きっと多かれ少なかれ同じ対応をされると思います。
理由も述べず一蹴、です😭
その態度は私もいかがなものかと思いますが、まぁ彼らの対応がそうならざるを得ない理由もあります。
一蹴せざるを得ない医者の言い分
その1 その代替医療について知らない
そもそも、医者というのは日々の業務が忙しすぎます。
異常です。
よって、一般の人たちが見ている健康番組を見る時間がありません。
たいていそのような健康番組の最後には、
「基礎疾患をお持ちの方は、主治医の了承を得てから取り組んで下さい。」
などという責任転嫁(笑)文句が謳われます。
しかしながら、そんな医療は肝心の医者は全く知らないのです。
患者さんに聞かれて答えられるわけがありません。
ナニソレ美味しいの?状態です。
一蹴せざるを得ない医者の言い分その2 その代替医療の経験がない
医療というのは、どんな医療でも、論文を調べればアドバイス出来るほど簡単なものではありません。
理論的にはこうだ、それを実際の患者さんに提供したらこうだった、
その理論と経験の積み重ねで徐々に良い医療を提供出来るようになります。
ですから、いくら知識が多くても、経験がないと良い医者にはなれないわけです。
テレビでやってた代替医療についてもしも興味を持ったとして、詳しく調べてみたとしても、
実際に自分がその医療でもって患者さんを治療した経験がなければ何もアドバイス出来ません。
車の開発部門でエンジンの構造に詳しい人が、より乗り心地の良い運転をするにはどうすればいいかと聞かれても答えられないのと一緒です。
一蹴せざるを得ない医者の言い分
その3 医学界の風潮
個人的にはこれが一番だと思いますが、医者は医学部生のころから、西洋医学についてしか学びません。
かろうじて、漢方の授業が6年間のうち15時間くらいあるだけです。
たったの15時間です。
1日4コマを一週間で終わりです。
ましてや、ほかの代替医療については全く何も学びません。
そんな勉強で医学部を卒業して医者として働きます。
現場にいる先輩医師も、そうやって西洋医学漬けになってきた人たちです。
そんな医者社会の中で早朝から夜中まで、休日も返上で働いていたら、西洋医学が絶対という風潮に染まっていきます。
というか、西洋医学以外のものの有用性を判断する能力は皆無です。
医者が代替医療を科学的でないという理由で否定するのには、どういう風に科学的でないのか、という明確な根拠がありません。
医者の世間知らずと良く言われますが、かなり特殊な環境で培養されて来た人種だということです。
科学的ってどういうこと?
前置きが長くなりました。
では実際に、「科学的」というのはどういうことなのか、お話しして行きたいと思います。
実は、科学的である、ということの条件がいくつかあります。
①普遍性がある:一般的に誰にでも当てはまる。
②再現性がある:何度実験しても同じ結果である。偶然でない。
③数値化出来る:実験結果は数値化され、統計処理されます。
④因果関係に論理性がある:ある因子が結果にどう関係しているのかを統計処理します。
以上のことを、わかりやすくまとめると、
実験結果を統計処理して、因果関係を導くこと
ということになります。
そうやって出てきたデータが、エビデンス、科学的論拠、というものです。
非科学的ってどういうこと?
逆に言えば、
①普遍性がない:自分にしか当てはまらないこと。その時しか当てはまらないこと
②再現性がない:偶然や巡り合わせで成功したこと
③数値化出来ないこと:なんとも言えない感覚的なこと
④因果関係が複雑:日常生活の様々な要素が複雑に絡み合ってこのような結果になった
といったことは、科学的に証明しようがありません。
非科学的な話になってしまうということです。
この世は科学的なのか?
科学は、この世の中を説明するのに良い言語です。
しかし、全ての事象が科学で説明出来るわけではありません。
冷静に考えてみて下さい。
人間の目が捉えられる光の波長、可視光線は赤〜紫だけで、360-870nmです。
でも、普通に考えたら、1nmの光だって、10000000nmの光だってあるわけです。
今は技術の進歩で、可視光線の外の範囲の光も捉えられる機械が出てきていますが、
(赤外線カメラなどですね)
でもまだまだ捉えられない波長というのは山ほどあるわけです。
科学の限界です。
それらは科学者たちが熱心に研究を進めているおかげで、科学はこれほどまでに進歩してきたわけです。
しかし、現時点で科学でわからないことも山ほどある、ということですね。
代替医療は非科学的で間違いなのか?
では、本題に戻りまして。
代替医療は、
その患者さんだからこそ効いた、その医療者だからこそ治せた、偶然色々な要素が絡み合って治った、
でも、治った過程を数値化出来ない、
そんな要素が大きい医療です。
でも、先程見てきたように、人間社会というのは、
そんな個別的で偶然性の高い要素が盛りだくさんなわけです。
それが、代替医療は非科学的と言われる所以ですが、非科学的であることイコール間違い、ではないことはお分かりいただけたでしょうか。
医療の目的は治癒ですから、手段が科学的であっても非科学的であっても、治るなら良いのではないでしょうか。
科学も非科学も大切にしてほしい
大事なことは、ニュートラルな視点で色々な情報に当たってみる、そして自分がしっくり来た情報を取り入れてみることです。
科学的なことは、本やインターネットから知識として取り入れることが出来ます。
非科学的なことは、自分の感覚や直感から知ることが出来ます。
両方とも必要なことで、大切なことだと考えています。
以上、代替医療はインチキなのかどうか、科学とは何なのか、という視点から論じてみました。
色々な意見の出るトピックかと思いますが、この記事を読んで下さった皆様が、よりご自身の選択に納得出来る手助けとなれれば嬉しいです。
ご意見ご感想はコメント欄にお願い致します。
最後までお読み頂きありがとうございました。
Dr.Amy